・その3 〜始まる前の予告〜
●小学一年生73年4月号より「テレビでもドラえもんがはじまるよ!」(mvunitさん提供)
マンガ本編の後にあった見開きの告知。藤子・F・不二雄先生自身が描かれています。小学館の学年雑誌でTV特集記事が組まれ
たのはこの時のみ。この時の「くものねんどのまき」の欄外に「ドラえもんテレビ放映局の一覧」が掲載されているので紹介します。
日本テレビ・札幌テレビ・青森放送・秋田放送・山形放送・山梨放送・北日本放送・
福井放送・名古屋放送・読売テレビ・日本海テレビ・山口放送・西日本放送・南海
放送・四国放送・高知放送・福岡放送・福島中央テレビ・広島テレビ・テレビ岩手・
宮城テレビ・テレビ長崎・テレビ大分・鹿児島テレビ・テレビ熊本・テレビ宮崎
〜以上26局。新潟、石川、長野、静岡、佐賀、沖縄ではリアルタイムでの放映は無かった
ようです。テレビ朝日版の開始当初は、同時ネットが8局、週遅れ放映が9局で見られない
地域が多く有りました。ちなみに「新・オバケのQ太郎(71〜72年)」の場合、日本テレビほか
22局ネットです。4月号から小学五・六年生にもドラえもんの連載が拡大しました。
ドラえもんのしっぽの色がそれまでの青から赤に変わったのもこの頃。
「あとは漫画扉に『日本テレビ系毎週日曜日夜7時から』というTV放送中のマークが付いてるだけで、
カラーグラビアなどは皆無でした。とりあえず、こちらでしらべた小学館雑誌は「小学一〜六年生
(73年1〜10月号)」「小学館BOOK(4〜10月号)」「よいこ」「幼稚園」(4〜10月号)ですが、写真の
類は皆無でした。てれびくんの前身でもある小学館のTV雑誌「小学館BOOK」にはちょっと期待したのですが、ドラえもんの影も形も無い。全く
無視されているのには驚きました。版元のTV雑誌が…何故?」との事です。どういう事でしょう? 左は小三4月号「ねん力目ぐすりのまき」
扉絵で、「4月1日(日よう日)午後7時 日本テレビけいから放映かいし!」と書かれてます。しぜ78
※ mvunitさんには国会図書館で以前に調査した膨大な資料をご提供頂きました。ありがとうございます!
漫画「ドラえもん」登場 藤子不二雄原作 よみうりテレビ4月から
よみうりテレビは、四月一日から漫画「ドラえもん」(日曜後7・0)を放送する。
原作は藤子不二雄で子供雑誌に連載中。主人公は、のび太という男の子を助けに未来の
国からやってきたネコのロボット”ドラえもん”(写真左)。のび太は小学四年生だが、
何をしてもヘマばかり。それを見かねた未来の国にいる彼の玄孫が、なんとか立派な男に
しようとドラえもんを派遣した。ドラえもんは頭にプロペラをつけてどこへでも飛んでいくが、
このエネルギー源はご飯で、弱点は腹ペコになること。しゃべると誰でもOKさせてしまう
マイク、口げんかに強くなる入れ舌、自動ボールペンなどの珍兵器が、子供たちに喜ばれそうだ。
〜放映三週間前の簡単な予告記事。ドラえもんが縁側で何か食べています。
●毎日小学生新聞 3月14日(水)「4月の新番組 日本=読売系」より
日本(読売系)テレビに四月から三本の新しい子ども番組がスタートします。簡単にお知らせしましょう。
ゆかいなドラえもん 「ボクははらペコには弱いんだ」――愛すべき主人公ドラえもん
まず一日からの、まんが映画「ドラえもん(日曜・夜7時)のお話。
ドラえもんというのは、未来の国から飛んできたロボット猫です。このドラえもんは魔法を
使いますが、実は、のび太という、何をしてもダメな男の子を助けるためにやってきたのです。
ダメだけれど、のび太はのびのびと育った小学生です。ドラえもんは、何とかしてのび太を
りっぱな人にしようと一生けんめい。魔法のポケットからとり出す秘密兵器を使うのですが、
おっちょこちょいのため、いつも失敗ばかりというゆかいなドラえもんの物語です。
〜あらすじをかなりはしょってます。写真は上の読売大阪版と同じ。
ドラえもんが食べているのはどうやらまんじゅうのようです。
●読売新聞・大阪版 3月24日(土)夕刊「話題の10チャンネル−YTVの欄−」より
ロボット猫「ドラえもん」
アッと驚く秘密兵器 楽しいアニメまんが 4月1日から日曜よる7時
▲ドラえもんの新兵器「ヘリトンボ」で大空を散歩するのび太たち
勉強はできず、運動神経もにぶく、何をやらせてもダメな少年。こんな子どもが想像力をたくましくする時、
超能力の秘密兵器が生まれる。四月一日から始まる『ドラえもん』(日曜よる7時)はそんなホームまんが。
現在「よいこ」「幼稚園」「小学一〜六年」に連載中で、早くも雑誌を上回る人気が予測されている。
原作者は「怪物君」「パーマン」「オバケのQ太郎」など、愛すべき主人公を描いては定評ある藤子不二雄。
秘密兵器をあやつるスーパー・ロボット猫ドラえもんと、何をやってもダメな少年、のび太がくり広げる
笑いと友情のギャグ・アニメ。藤子の出世大作「オバQ」をしのぐ人気まんがに成長しそう。
ドラマの副主人公のび太は小学四年生。都心から電車で一時間余り、ごく普通の
住宅街に住んでいる。パパは商事会社の課長補佐。典型的なサラリーマンタイプだ。
ママはちょっぴりあわて者で気立てがいい。その一人息子のび太は、何をしても人なみ以下だが、
のびのびとした気性がとりえの平均的小学生といった所。つまりパパもママも平均的日本人なのである。
人なみ以下ののび太に力を貸してくれるのが、主人公のドラえもん。
ごはんを食べ、人間の言葉を話す変なロボット。腕力はおとなの五人分。
何でも吸いつける磁石を持ち、しっぽを引っ張ると姿がパッと消える。
頭にヘリコプター式のプロペラがあり、どこへでも飛んで行ける。
そのエネルギーはごはん。ごはんを食べて電気エネルギーに変える。
だから、ごはんを食べないとたちまちエネルギーが欠乏し元気が無くなる。
こんな超能力を持つロボットでも、シンは猫だからねずみが大きらい。
見ただけで震え上がって逃げる弱点を持つ。
のび太を鍛えるために、ドラえもんは秘密兵器の数々を駆使する。例えば、むずかしい
宿題もペンが勝手に動き、アッという間にかたづけてしまう「自動ボールペン」。舌の先に
はめると、口ゲンカが強くなり、早口なら誰にも負けない「入れ舌」……。
毎回、アッと驚く秘密兵器がゾクゾク登場、これがドラマの見どころとなる。
タイムマシンで未来からやって来たドラえもんの出入り口は、のび太の机の引き出し。同じSFの
世界を描いても、怪獣の世界は子どもたちの状況とあまりにも隔絶しすぎている。その点『ドラえもん』
のSFは日常生活――それも子どもたちの生活レベルの中に自然に登場するため、より俗物的面白さが
倍加されている。ズッコケ調の『ドラえもん』のユーモアあふれるギャグ・ホームコメディーは、
アニメーションまんがの今後の針路を大きく左右する事も予想される。毎週、一話十五分の短編を二話放送。
〜放映開始一週間前の読売大阪版のPR面に載った最大の宣伝記事で、「子連れ狼」と並ぶ看板番組だった事が
分かります。のび太のパパは商事会社の課長補佐と判明!「シンは猫だからねずみが大きらい。」ってどういう意味?
雑誌を上回る人気でアニメの今後の針路を左右するはずが、残念な結果に終わってしまいました。
週刊TVガイド1973年3月24日号「春の子供向け新番組紹介」より
「おばQ以上のヒット作を狙う!」(mvunitさん提供)
話題作と言えば、この「荒野の少年イサム」以上、というのが「ドラえもん」だ。
「とにかく、小学一年から四年までに掲載され、四月から更に六年生までに掲載される事に
なってます。”オバQ“以来のヒット作ですよ」と、番組制作者ですら、いささかあきれ顔。
物語はネコのロボットが主人公。未来の国からやってきて、ある家に住み込む。この家の小学生、
のび太くんが実にダメな男。学校の成績は中の下。喧嘩に弱く、スポーツもニガ手ときている。
そこで、ドラえもんが未来の国から持って来たさまざまな武器を使ってのび太を助ける。
例えばボールペン〜手に握ると一人でに宿題をスラスラとやってくれる。
一粒の丸薬〜口の中に入れると、口下手だったのび太がたちまち能弁になる。
口紅〜つけてやると悪口をいっていた人間が一変して悪口を言わなくなる。
超能力を持ったドラえもんだが、弱点もある。空腹とネズミ。
この二つに襲われると、たちどころに超能力を失ってしまう。
原作は「もーれつア太郎」の藤子不二雄。(ここはTVガイド記事の誤認ですね。)
「SF調ホームコメディといった作品。ごく平均的な小学生とドラネコという組み合わせが
子供たちに親近感を感じさせているようです。“オバQ”とか“もーれつア太郎”
以上のヒット作になりますよ。」と日本テレビは自信たっぷりだ。(中略)
ところで、こうした新番組の登場とともに話題となるのがマーチャンダイジング。
つまり、劇中に登場する人物、怪獣、武器の商品化、さらに主題歌のレコードなどの発売だ。
『ドラえもん』ではマジックボールペン、ノート,シール、玩具、人形、電動人形、(中略)
といった調子で放送スタートと同時にモーレツ商戦を繰り広げるべく手ぐすねを引いている。
一部ではすでに売り出されたものもある。
〜関係者の「絶対ヒットする!」という猛烈な自信が伝わって来ますね。写真は、野比家の庭に集合した野比一家。
原作のド初期をモデルにしているので、かなり違和感があります。のび太は何でそんな顔をする?宣伝用のイラスト
なので本編とは絵が違っているかも。テレビ朝日版のの写真は月刊OUT79年4月号から。これは全員四本指ですが、
アニメではそんなに珍しい事では無かったらしいです。というのもウメ星デンカを除く黒べえまでの藤子アニメと
一部の原作は基本的に4本指でした。天才バカボン(元祖も)やど根性ガエルでも4本指になってます。
起源はミッキーマウスだとか。日テレ版ドラえもんでは5本指を採用していました。
※TVガイドの記事は全てmvunitさんの提供です。
●河北新報 3月28日(水) 宮城テレビの新番組宣伝広告より(SOTKさん提供)
ドラえもん 4月1日スタート★日曜よる7:00
ボク、未来の国から飛んできたドラえもん。魔法の秘密兵器で活躍するョ!
〜太郎くん、タケシくん、よし子ちゃんって誰だい。「河北新報(本社:仙台)」に載った宮城テレビの
新番組の合同広告で、他では見ない変なロゴが使われています。ちなみに、河北新報は宮城県を中心に
青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県の東北地方6県に配布されてる新聞です。拡大
SOTKさんには地元の図書館で河北新報を始め東北各県の新聞を調べてもらいました。ありがとうございます。
東奥日報・3月26日より 青森放送の広告 (SOTKさん提供) 何だか不吉な感じの?紹介文。
山形新聞・3月30日より 山形放送の広告 (SOTKさん提供) 右端には流星人間ゾーンが。
併結特急さんからの情報によれば、4月1日の北海タイムスの広告は「のび太くんと未来の国から
飛んできたロボット猫”ドラえもん”のゆかいなコンビ」と書いてあり、東奥日報の広告に似ているそうです。
●山梨日日新聞 3月29日(木)より 「オレ、ドラえもん」(mvunitさん提供)
動物を主人公にしたまんががかなり目立つ。四月から「ドラえもん」(YBS)、
ワンサくん(フジ系)がスタートするが、「ドラえもん」はネコ、「ワンサくん」は
イヌが主人公。このほか継続するものは、「山ねずみロッキーチャック」
「けろっこデメタン」(フジ系)、UTYの「ど根性ガエル」も六日から登場するなど、
身近な動物が登場するまんがは、やはり子供たちに喜ばれているようだ。
「ドラえもん」は動物まんがとは、ちょっと様子が違う。ドラえもんは確かに
ネコには違いないが、未来の国から"のび太"という少年の助太刀にやって
きたネコのロボット。このドラえもんは底なしポケットがおなかにあって何でも
つめ込むことができ、この中には数々の秘密兵器がある。(読売の記事と
重複するため中略)学校の成績は中の下、運動神経もまったくなしという
小学校四年生の"のび太"を助けようとするドラえもんだが、結果はいつもズッコケ。
こんな時ドラえもんは胸につるした大きな鈴を鳴らす。すると隣近所からネコが
集まってきて、いろんな意見を出してくれる。ユーモアあふれるホームコメディーだ。
〜(2006年12月4日追加資料)2004年末にmvunitさんが東京行きのついでに国会図書館で各地方の新聞を
調べてくれて新たに発掘された記事。しかし「オレ、ドラえもん」とは凄いですねえ。
4月17日の赤旗の記事でもドラえもんは動物もの扱いされてます。
●コラム(1)悲運の藤子アニメ・ジャングル黒べえ
NETテレビで73年3月2日から放映開始。(途中)